arusenpaiの日記

ある、先輩の備忘録兼日記 フィクション

そら飛ぶ鶏と猫

さすがにそら飛ぶとは思わないよ

猫はサンマを賭けた

 

いやいや、やっぱし育ちとエサ次第だと思うぜ

鶏ははやく夕飯にとでもとサンマをキラキラした目で見た

 

だったら今晩、この嵐のなかで跳んでみるといい

猫はマタタビを嗅ぎながらそう言って煽った

 

飛ぼうとする鶏は健康であったが、鶏の兄は足がおれていてトコトコト歩くことすらままならない

だが、エサは足元に常にばらまかれていたので餓死することなく

空腹になればいつでもエサを食べていた

 

猫はというと繁華街の空き地のボスで

観光客からなんでかんでも貰えた、町のアイドル猫だった

 

しかしながら寝床はベンチの下とか、ちょっとした草むらのなかで今晩の嵐に耐えられるか、心配で内心びびりまくっている

 

鶏達が小屋に帰ると

うらめしそうに猫が眺めていた

 

猫は嵐のなか鶏達のようにモゴモゴと身を寄せ合い暖まる術もなく

風で飛んでくる空き缶やら、繁華街のごみを必死で交わしベンチの下で過ごすしか他無かった

だんだんと悪くなる天気に苛立っていた

 

鶏は猫との賭けを忘れて安全な小屋で一眠りつこうとうずくまっていた

 

すると店の店主が仕込みに入り鶏の首を跳ねた

 

ベンチの下から鶏の首が跳ねられるのを見た猫は

サンマを食べる